FIRE計算だけでは足りない理由|教育費・住宅ローン・老後をまとめて見るべき理由

FIREを考えるとき、多くの場合は「いくら資産があれば仕事を辞められるか」という計算から始まります。

年間生活費の25倍、4%ルール、運用利回り、取り崩し率などは、FIREを考えるうえで大切な考え方です。

ただし、実際の人生では支出が毎年同じように続くわけではありません。

子どもの教育費が大きくなる時期、住宅ローンが残る期間、FIRE後から年金開始までの収入の空白、老後の生活費など、家計にはいくつもの山があります。

そのため、FIREに必要な資産額だけを単独で計算しても、現実の家計としては見落としが出ることがあります。

この記事では、FIRE計算そのものを否定するのではなく、教育費・住宅ローン・老後資金をひとつの人生の流れで見る必要性について整理します。

FIRE計算でよく使われる考え方

FIREの必要資産額を考えるとき、よく使われるのが「年間生活費の25倍」という考え方です。

たとえば、年間生活費が400万円なら1億円、年間生活費が500万円なら1億2,500万円がひとつの目安になります。

これは、資産を運用しながら一定割合で取り崩すことを前提にした考え方で、FIREを考える出発点としてはとても分かりやすいものです。

ただし、この計算は基本的に「毎年同じくらいの生活費が続く」前提で考えやすい面があります。

現実の家計では、子どもの進学、住宅ローンの返済、車の買い替え、年金開始前後の収入変化などによって、支出の大きさは年齢ごとに変わります。

つまり、FIRE計算は必要ですが、それだけで人生全体の資金計画を判断するには少し粗いということです。

FIRE計算だけでは見落としやすい支出

特に見落としやすいのは、教育費・住宅ローン・年金開始までの期間です。

まず、子どもがいる家庭では、教育費が一時的に大きくなる時期があります。小さい頃はそれほど負担が大きくなくても、中学・高校・大学と進むにつれて、支出が増えやすくなります。

子どもが2人以上いる場合は、進学時期が重なることで、家計への負担が一時的に大きくなることもあります。

FIRE計算で教育費をどう考える?子ども2人家庭の教育費ピークに注意

次に、住宅ローンです。FIREやサイドFIREを考える年齢によっては、退職後や収入を減らした後も住宅ローンが残るケースがあります。

住宅ローンが残っている期間と、教育費が大きくなる期間が重なると、資産の減り方は単純なFIRE計算より厳しくなる可能性があります。

さらに、FIRE後から公的年金が始まるまでの期間も重要です。たとえば55歳で仕事を大きく減らした場合、65歳までの10年間は、年金収入がない状態で生活費をどうまかなうかを考える必要があります。

このような支出や収入の変化は、単純に「生活費の25倍」を計算するだけでは見えにくい部分です。

子どもあり・住宅ローンあり家庭では、同じ時間軸で見ることが大切

子どもがいる家庭や住宅ローンがある家庭では、FIREの可否を資産額だけで判断するのは危険です。

たとえば、40歳前後で子どもが小さく、住宅ローンも残っている家庭を考えると、将来の教育費ピークとローン返済が重なる時期があります。

この時期に収入を大きく減らしたり、資産を取り崩したりすると、思ったより早く資産が減っていく可能性があります。

逆に、教育費のピークを越えた後や、住宅ローンの完済後であれば、同じ資産額でも家計の余裕度は変わります。

大切なのは、現在の資産額だけを見ることではありません。

教育費が増える時期、住宅ローンが終わる時期、年金が始まる時期、老後生活費が続く期間を、同じ時間軸で並べて見ることです。

完全FIREよりサイドFIREが現実的なケースもある

FIREというと、完全に仕事を辞めるイメージを持つ人も多いかもしれません。

しかし、子どもがいる家庭や住宅ローンがある家庭では、完全FIREよりもサイドFIREの方が現実的なケースもあります。

たとえば、55歳以降に月10万円の収入があると、年間120万円分の取り崩しを抑えられます。65歳までの10年間で考えると、単純計算で1,200万円分の資産取り崩しを減らせることになります。

もちろん、実際には税金、社会保険、運用成績、働き方の変化などもあるため、単純に1,200万円得をするという意味ではありません。

それでも、少し働くことで資産寿命が変わる可能性がある、という視点は重要です。

サイドFIREは、無理に働き続けることでも、完全に仕事を辞めることでもありません。

生活費の一部を仕事収入で補いながら、資産の取り崩しをゆるやかにする選択肢として考えると、現実的な生活設計に近づきます。

将来額だけでなく現在価値で見る

長期の生活設計では、将来額だけでなく、現在価値で見ることも大切です。

たとえば、将来の1,000万円と今の1,000万円は、生活感覚として同じとは限りません。

物価が上がれば、同じ金額でも買えるものの量は少なくなる可能性があります。

そのため、老後資金や95歳時点の資産残高を見るときは、将来の通帳残高に近い「将来額」と、今のお金の感覚に近い「現在価値」の両方を確認すると分かりやすくなります。

将来額は、将来その時点で表示される額面に近い見方です。

現在価値は、将来のお金を今の生活感覚で見た金額です。

どちらか一方だけを見るのではなく、目的に応じて使い分けることが大切です。

慎重シナリオで見ると、楽観的すぎる計算を避けやすい

FIRE計算では、運用利回りやインフレ率の前提が結果に大きく影響します。

標準的な前提では問題なく見えても、利回りが低くなった場合や物価上昇が強くなった場合には、資産の減り方が大きく変わることがあります。

これは、不安を煽るためではありません。

むしろ、どの条件だと厳しくなりやすいのかを知ることで、今から調整できる余地を見つけるための確認です。

「大丈夫か、危ないか」を一度で決めるのではなく、標準的な条件と慎重な条件の両方で見ることで、生活設計の余裕度を確認しやすくなります。

FIREは「何歳で辞めるか」だけでなく「人生全体で資金が続くか」で考える

FIREを考えるとき、「何歳で仕事を辞められるか」は分かりやすい目標です。

ただし、実際に大切なのは、仕事を辞めた瞬間だけではありません。

その後の教育費、住宅ローン、年金開始、老後生活費まで含めて、人生全体で資金が続くかを見る必要があります。

特に、子どもがいる家庭や住宅ローンがある家庭では、FIRE達成年齢だけでなく、支出が重なる時期を確認することが重要です。

資産額だけでなく、年齢ごとの収入・支出・資産推移をまとめて見ることで、現実に近い判断がしやすくなります。

生活設計シミュレーターで確認できること

LIFE PLAN LABの生活設計シミュレーターでは、教育費・住宅ローン・投資・FIRE・老後資金を、ひとつの人生の流れとして概算できます。

確認できる主な内容は以下です。

  • 教育費が大きくなりやすい時期
  • 住宅ローン完済前後の家計変化
  • 完全FIRE・サイドFIRE後の資産推移
  • 年金開始後の老後資金
  • 将来額と現在価値の違い
  • 慎重条件で見た場合の変化

FIREに必要な資産額だけでなく、教育費・住宅ローン・老後資金までまとめて確認したい方は、以下のシミュレーターで自分の条件に近い形で見通しを整理できます。

生活設計シミュレーターを使う

まとめ

FIRE計算は、将来の働き方や資産形成を考えるうえで有用な考え方です。

年間生活費の25倍や4%ルールは、必要資産額を大まかに把握する出発点になります。

しかし、実際の人生では、教育費・住宅ローン・年金開始までの空白期間・老後資金など、年齢ごとに支出や収入が変わります。

そのため、FIREを考えるときは、資産額だけではなく、人生全体の資金の流れを見ることが大切です。

完全FIREだけでなく、サイドFIREも含めて、自分に合った働き方と資産の使い方を整理していきましょう。

将来を正確に予測することはできませんが、条件を置いて見通しを確認することで、今から考えられる選択肢は増やせます。

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